業種別・不動産

不動産会社のLLMO対策についてAIが見ていたのは、ホームページではなかった

2026年9月30日公開 執筆:GENTA

AI検索の対策というと、まずホームページの書き方を直す話になります。ところが不動産では、そこが出発点になりませんでした。

世田谷区の不動産会社について、ChatGPT・Claude・Geminiに10種類の質問を投げ、挙がった118社と紹介文151件を調べました。ChatGPTが会社に添えたリンクのうち、6割がGoogleマップ。自社サイトへのリンクは全体の34%でした。同じ手法で調べた税理士は82%、美容クリニックは78%です。不動産だけ、AIが見ている場所が違います。

目次

  1. 不動産のLLMO対策・AIO対策で、最初に見る場所
  2. ChatGPTが貼ったリンクの6割がGoogleマップ
  3. 税理士は82%、美容クリニックは78%、不動産は34%
  4. 「親身」「丁寧」は、サイトに書いていない言葉
  5. 相続が、いちばん大きい入口
  6. 「地域密着」では差がつかない
  7. GEOで検索するとMEOが出てくる理由
  8. 不動産のAI対策、手をつける順番
  9. よくある質問

不動産のLLMO対策・AIO対策で、最初に見る場所

LLMO対策(AIO対策・GEO対策・AI検索対策とも呼ばれます)とは、AIに相談されたときに自社の名前が挙がり、正しく紹介されるようにする取り組みです。

不動産の場合、相談者はこういう聞き方をします。「世田谷区でおすすめの不動産会社は?」「相続した実家を売りたい。どこに相談すればいい?」「二子玉川で中古マンションを探しています」。検索と違い、AIは数社だけを名前で挙げ、短い紹介文を添えます。

今回は2026年7月に、この種の質問を10種類用意し、3つのAIにWeb検索を有効にした状態で投げました。のべ150件、118社が挙がっています。

そのうち3つのAIすべてに挙がったのは2社だけでした。挙げた社数もAIで違い、ChatGPTが42社、Claudeが29社、Geminiが64社です。まずこの時点で、1つのAIで確認しても全体は分かりません。

ChatGPTが貼ったリンクの6割がGoogleマップ

AIが会社名を挙げるとき、その会社へのリンクを添えることがあります。不動産で集まった68件を分類したところ、内訳がはっきり偏っていました。

リンク先件数中身
Googleマップ28件店舗名で検索したGoogleマップのページ
各社の公式サイト23件会社のホームページ
ポータルサイト10件SUUMO、アットホーム、すまいステップなど
他社・メディアの記事7件売却の流れを解説した記事など

Googleマップが最多です。そして、28件はすべてChatGPTでした。ClaudeとGeminiは一度もGoogleマップにリンクしていません。

AIごとの差はもっと極端です。ChatGPTは挙げた47件すべてにリンクを添え、そのうち28件、ちょうど6割がGoogleマップ。一方Geminiは、72件のうちリンクを添えたのは6件だけでした。

ここから分かること。相談者がChatGPTで不動産会社を探した場合、会社名の横に出てくるのは公式サイトではなくGoogleマップである可能性が高い、ということです。クリックした先に表示されるのは、営業時間・写真・口コミです。

税理士は82%、美容クリニックは78%、不動産は34%

この偏りが不動産だけのものか、7業種を並べて確かめました。AIが会社に添えたリンクのうち、その会社自身の公式サイトが占めた割合です。

リンク先が「その会社の公式サイト」だった割合

パーソナルジム銀座・新橋

91%

パーソナルジム恵比寿

86%

税理士渋谷区・港区

82%

美容クリニック都内

78%

人材・採用人材紹介・採用代行

71%

BtoB SaaS人事システム

48%

不動産世田谷区

34%

出典:AGEO-SCOPE実測(2026年7〜9月、ChatGPT・Claude・Gemini、Web検索あり、リンク450件を分類)

店舗系や士業では8割以上が公式サイトです。「この会社はこちら」と、そのままホームページにつないでいます。

不動産だけが34%。7業種で最も低く、2番目のBtoB SaaSとも差があります。つまり不動産では、ホームページの文章を整えても、AIがそこを見て紹介しているとは限りません。業種ごとの違いは450件を分類した記事にまとめています。

「親身」「丁寧」は、サイトに書いていない言葉

紹介文の中身を読むと、参照元の違いがそのまま出ていました。「下北沢周辺で評判の良い不動産会社は?」への回答を並べます。

計測メモ|評判をたずねた質問

「親身な対応と丁寧な物件紹介で高評価を得ている店舗です」
「迅速な対応と親しみやすいスタッフが特徴で、物件探しをサポートしています」
「カフェのような雰囲気で、初めての方にも親切な対応を提供しています」
「地域情報にも詳しく、親身な対応で評判の店舗です」

自社サイトに「うちは親身です」「カフェのような雰囲気です」と書いている会社は多くありません。これは口コミの言葉です。接客の印象、雰囲気、対応の速さ。来店した人が書く種類の内容が、そのまま紹介文になっています。

裏を返せば、口コミに書かれていないことは、この種の質問では紹介されません。サイトでどれだけ丁寧さを説明しても、参照元がGoogleマップであれば届きません。

相続が、いちばん大きい入口

紹介文151件の中で、最も多く出てきた言葉は「相続」で41回でした。売却が32回、賃貸が12回です。

相続をたずねた質問では、紹介文の具体性がはっきり上がりました。

年数、連携先の士業、扱える物件の種類。相続の相談者が知りたいことが、そのまま紹介文の材料になっています。売買や賃貸の一般的な質問より、AIが拾う情報の粒度が細かくなりました。

なお「世田谷区で家を売りたいのですが、何から始めればいいですか?」のように手順をたずねた質問では、ClaudeとGeminiは会社名を1社も挙げませんでした。返ってきたのは売却の流れと必要書類の説明です。会社名が出る質問と、出ない質問があります。

LLMO対策の「分析→改善提案→効果の確認」を、1つのツールで

AGEO-SCOPEは、御社のエリアと取扱いに合わせた質問でAIの回答を分析し、上位の会社と御社の情報を突き合わせて「次に何を足すか」を根拠つきで提案します。直した後の変化も毎週の計測で確かめられます。

資料をダウンロード

「地域密着」では差がつかない

紹介文で2番目に多かった表現が「地域密着」で15回です。

これは一見良いことに見えますが、実際は逆です。15社が同じ言葉で紹介されているということは、その言葉では見分けがついていないということになります。「地域密着型の不動産会社で高評価を得ている」という紹介文が、別々の会社に付いていました。

一方で、差がついていた紹介文には必ず固有の情報が入っています。「世田谷・目黒・渋谷・港区を中心に」という対応エリア、「創業60年」という年数、「再建築不可や通行トラブル」という扱える物件、「士業と連携」という体制。地域密着という言葉ではなく、その中身が書かれているかどうかで分かれていました。

GEOで検索するとMEOが出てくる理由

不動産の方には、少しややこしい話があります。AI検索対策は「GEO対策」とも呼ばれますが、AIに「おすすめのGEO対策ツールを教えて」と聞くと、MEOのツールが返ってきます。

実際に計測したところ、Geminiが挙げた20件はBrightLocal、Localo、Local Falcon、GeoRanker、Birdeye、Podium。ほぼすべてローカルSEO・MEOのツールでした。AIが「GEO」を地理の意味で受け取っているためです。詳しくは言葉を変えて5回聞いた記事に書きました。

ただし不動産に限っては、この誤解が的外れとも言い切れません。ここまで見てきたとおり、AIが不動産会社を紹介するときの最大の参照元はGoogleマップでした。MEOで積み上げてきたものが、そのままAIの回答に効いてくる構図です。

情報を探すときは「LLMO対策」または「AI検索対策」で調べるほうが、目的の情報にたどり着きます。

不動産のAI対策、手をつける順番

他の業種なら「まずサイトを直す」で構いません。不動産は順番が変わります。

先に

Googleビジネスプロフィール

ChatGPTが添えたリンクの6割がここでした。ここが古いままだと、AIが読む情報も古いままになります。

  • 会社名・営業時間・電話番号が最新か
  • 事業内容の説明に、売買・賃貸・管理・相続など扱う業務が書かれているか
  • 対応エリアが書かれているか(区名だけでなく、駅名も)
  • 写真が実際の店内のものか
  • 口コミに返信しているか。返信の文章もAIが読む対象になります
次に

ポータルサイトの掲載情報

SUUMO、アットホームなどへのリンクが10件ありました。すでに掲載しているなら、その会社紹介欄が空欄や定型文のままになっていないかを確認してください。

そのあと

自社サイト

34%とはいえ、23件は公式サイトへのリンクでした。書くべき内容は、紹介文に実際に使われていた要素です。

  • 相続の相談を受けられるか。紹介文で最も多く出てきた言葉です
  • 創業年数・実績。「創業60年」「地域密着35年」が引用されていました
  • 対応エリアを具体的に。「世田谷・目黒・渋谷・港区を中心に」という形で引かれています
  • 扱える物件の種類。再建築不可、訳あり物件、空き家など
  • 士業との連携体制。税理士・司法書士との連携が紹介文に出ていました
その前に1つだけ。サイトがAIクローラーをブロックしていると、3番目は読まれません。確認の手順はLLMO対策の進め方にあります。

なお、これらを直してもAIの回答に必ず出るようになるわけではありません。今回の計測は2026年7月の記録で、AIの回答は日々変わります。言えるのは、AIが見ていた場所と、そこに書かれていた要素まで、です。

世田谷区の調査結果そのものはレポートに、業種ごとの違いはこちらの記事にまとめています。

参考にした資料 AGEO-SCOPE実測(2026年7月29日、世田谷区・二子玉川・三軒茶屋・下北沢に関する10問 × ChatGPT・Claude・Gemini、Web検索を有効化)
AGEO-SCOPE実測(2026年7〜9月、7業種のリンク450件の分類/2026年9月18日、用語別のツール計測)

よくある質問

不動産会社にLLMO対策は必要ですか?

AIに不動産会社をたずねる人がいる以上、どう紹介されるかは見ておく価値があります。世田谷区で計測したところ、3つのAIが挙げた不動産会社は118社で、3つすべてに挙がったのは2社だけでした。ChatGPTに出ていなくてもGeminiには出ている、という状態が普通に起きています。

不動産のLLMO対策・AIO対策は、何から始めればいいですか?

Googleビジネスプロフィールの確認からです。今回の計測で、ChatGPTが不動産会社に添えたリンク47件のうち28件がGoogleマップでした。他の業種では各社の公式サイトが中心でしたが、不動産では自社サイトへのリンクは34%にとどまります。サイトの文章を直すより先に、地図と口コミの情報を整えるほうが順番として合っています。

不動産のAI対策は、MEO対策と何が違いますか?

入口は重なります。AIが不動産会社を紹介するときに参照していた先の多くがGoogleマップだったため、MEOで整えてきた情報がそのままAIの回答に効いてくる構図です。ただしAIはポータルサイトや各社のページも読んでいるため、地図情報だけでは足りません。MEOを土台に、掲載先とサイトを足していく形になります。

AIに「GEO対策」と聞くと、なぜMEOツールが出てくるのですか?

AIが「GEO」を地理の意味で受け取っているためです。別の計測で「おすすめのGEO対策ツールを教えて」と聞いたところ、GeminiはBrightLocalやLocal FalconといったローカルSEO・MEOのツールを並べました。不動産業では結果的に近い領域を指すことになりますが、生成AI対策を指す言葉としては誤解を招きます。