目次
GEO・LLMO・AIO・AEOの違いは、定義では決まらない
先に、言葉の整理だけしておきます。
- GEO(Generative Engine Optimization)— 2023年の論文由来。研究の世界の標準
- LLMO(Large Language Model Optimization)— 日本で広まった呼び方
- AEO(Answer Engine Optimization)— 検索が「答えを返すもの」になったという見方から
- AIO(AI Optimization)— GoogleのAIによる概要を指す使われ方も混在
45本のGEO研究を整理した2026年のレビューは、これらを「別個の手法ではなく、同じ現象を別の商用製品に当てはめて呼んでいるもの」として扱っています。人間にとっては、ほぼ同じ言葉です。言葉の成り立ちは「LLMOとは」に詳しく書きました。
問題はここからです。AIにとっても同じ言葉なのか。意味が同じなら、どの言葉で聞いても同じツールが返ってくるはずです。確かめました。
言葉だけ変えて、同じ質問を5回
2026年9月18日、ChatGPT・Claude・Geminiに、Web検索を有効にした状態で次の5問を投げました。変えたのは用語の部分だけです。語順も言い回しも揃えています。
| 質問 | ねらい |
|---|---|
| おすすめのLLMO対策ツールを教えて | 日本で最も検索されている言い方 |
| おすすめのGEO対策ツールを教えて | 研究の世界の標準 |
| おすすめのAIO対策ツールを教えて | AIによる概要を指す言い方 |
| おすすめのAEO対策ツールを教えて | 海外で使われる言い方 |
| おすすめのAI検索対策ツールを教えて | 略語を使わない場合の比較用 |
5問 × 3AI で15回。挙がったツールは、のべ151件、重複を除いて105種でした。用語ごとの結果は次のとおりです。
「GEO」はMEOと間違われる
いちばん差が出たのがGEOでした。Geminiが挙げた20件は、BrightLocal、Localo、Local Falcon、GeoRanker、Birdeye、Podium。すべてローカルSEO・MEOのツールです。Google広告やFacebook広告まで並びました。
「GEO」を地理の意味で受け取り、Googleマップ対策のツールを紹介しているわけです。生成AIの話は出てきません。
同じ現象は、別の計測でも起きました。自社ブランドの計測で「AI検索対策(GEO)ができるおすすめのツールを教えて」と聞いたとき、Geminiが挙げたのはMEOアナリティクス、Canly、マップ職人、ナビタイムジャパンなど。括弧でGEOと添えただけで、回答がMEOに引っ張られました。
これは実務に直結します。GEOという言葉で自社の露出を測っていると、そもそも違う市場を測っていることになりかねません。
「AIO」はSEOツールに流れる
AIOでGeminiが挙げた16件は、Semrush、Ahrefs、SE Ranking、Ubersuggest、Surfer SEO、All in One SEO。通常のSEOツールが中心でした。
AIOは「AI Optimization」の略でもあり、GoogleのAI Overviews(AIによる概要)を指しても使われます。後者で受け取られると、AI概要に載るための対策=SEOという連想になり、既存のSEOツールに流れていきます。実際、Claudeの回答にはGoogle Search ConsoleやSchema Markup Validatorといった、無料の構造化データ検証ツールまで含まれていました。
「AI検索対策」では記事作成ツールが並ぶ
略語を使わず「AI検索対策ツール」と聞いた場合です。Geminiが挙げた22件は、Transcope、SAKUBUN、Emma Tools、Creative Drive、BringRitera、Jasper、Catchy。AIで記事を書くツールが並びました。
さらに、ChatGPT Search・Google Gemini・Claude そのものを「ツール」として列挙した回答もありました。「AI検索」という言葉が、対策の対象なのか、対策の道具なのかを区別できていないということです。
略語を避ければ伝わるとは限らない、という例になっています。
「AEO」は貿易用語とぶつかる
AEOは、5つの中で挙がった件数が最も少なく19件でした。中身はProfound、Conductor、Otterly.AI、Scrunch AI、AthenaHQと、海外の可視性計測ツールが中心です。国内サービスはほとんど出てきません。
そしてAEOには、もう1つ別の意味があります。貿易分野の認定事業者制度(Authorized Economic Operator)です。実際、別の計測でChatGPTが挙げた項目の中に「Knowledge of Authorized Economic Operator (AEO)」が混ざっていました。
いちばん近かったのは「LLMO」
5つのうち、最も的を射ていたのがLLMOでした。ChatGPTが挙げた5件は、すべて国内のLLMO専業ツールです。そのうち3件は、運営会社まで確認できました。
- LLMOA(エルモア) — GladCube運営
- LLMOinsight — 株式会社Letier運営
- LLMOチェキ — 株式会社Itera運営
日本語で情報を探す人が使う言葉と、国内サービスが名乗っている言葉が一致している。言葉を合わせると、返ってくる結果の的確さが上がるということです。
ただし、完璧ではありません。残る1件は、確認した時点で公式サイトにたどり着けませんでした。実在しないサービスが混ざっている可能性があります。AIの回答に名前が並んでいても、そのすべてが存在するとは限らないということです。
LLMO対策の「分析→改善提案→効果の確認」を、1つのツールで
AGEO-SCOPEは、複数の言い方でAIの回答を分析し、上位の会社と自社サイトを突き合わせて「次に何を書き足すか」を根拠つきで提案します。直した後にどう変わったかも、毎週の計測で確かめられます。
5用語の重なりは0.07〜0.21
用語どうしで、挙がったツールがどれだけ重なっていたかを数字にしました。1.00なら完全一致、0.00ならまったく重ならないという指標です。
| LLMO | GEO | AIO | AEO | AI検索対策 | |
|---|---|---|---|---|---|
| LLMO | — | 0.07 | 0.13 | 0.09 | 0.21 |
| GEO | 0.07 | — | 0.09 | 0.09 | 0.15 |
| AIO | 0.13 | 0.09 | — | 0.17 | 0.13 |
| AEO | 0.09 | 0.09 | 0.17 | — | 0.11 |
| AI検索対策 | 0.21 | 0.15 | 0.13 | 0.11 | — |
Jaccard係数(共通数 ÷ 全体数)。0.15未満を色つきで表示。出典:AGEO-SCOPE実測(2026年9月18日)
最も低いのはLLMOとGEOの0.07でした。研究の世界では同じものを指す2つの言葉なのに、AIに聞くとほとんど重なりません。最も高いLLMOとAI検索対策でも0.21です。
5つの言葉すべてに共通して挙がったツールは、105種のうち3つだけでした(AIsearchmap、Otterly.ai、Profound)。
この数字には比較対象があります。前述の研究レビューでは、Googleの通常検索・AIによる概要・Geminiという別々のエンジンの間で、挙がるURLの重なりが0.11〜0.18とされています。今回は同じ日・同じAIで、言葉を変えただけ。それがエンジンを変えるのと同じかそれ以上の差を生んでいます。
どの言葉で計測すべきか
ここまでを踏まえると、答えは「1つに絞らない」になります。
- 複数の言い方で測る。共通して挙がるツールが3つしかない以上、1つの言葉で測った結果は、その言葉の中での話にすぎません。
- お客様が使う言い方を優先する。業界内の略語ではなく、相談してくる人が実際に打つ言葉を選んでください。
- 略語を使わない聞き方も試す。ただし「AI検索対策」のように、略語を外すと別の意味に流れることもあります。どちらが良いかは測って決めるしかありません。
私たちの場合
AGEO-SCOPEは、15回の計測のうち1回だけ名前が挙がりました。それも「GEO対策ツール」で聞いたときです。LLMO・AIO・AEO・AI検索対策では、一度も挙がっていません。
私たちはサイトの表記を「GEO / AIO」から「LLMO」に変えたばかりでした。市場が使う言葉に合わせたつもりが、AIに拾われていたのは変更前の言葉だったことになります。どちらが正しいという話ではなく、両方を測り続けるしかない、ということです。
この1回で言えないこと
正直に書いておきます。今回の計測は、2026年9月18日の1回分です。
AIの回答は同じ質問でも毎回変わります。45本のGEO研究をまとめたレビューでは、引用されるサイトの重なりは日ごとに0.34〜0.42程度とされ、1つの質問につき7〜8回の反復計測が出発点として推奨されています。今回はその1回目にすぎません。
ですので、ここで言えるのは次のところまでです。
- 言えること:ある日のある時点で、用語を変えると返ってくるツールが大きく変わった。GEOがMEOと解釈される、AIOがSEOに流れるといった誤解が、実際に起きていた。
- 言えないこと:この傾向がいつも起きるのか。どの用語が長期的に有利なのか。用語を変えれば露出が増えるのか。
この5問は2026年9月18日に1回計測したものです。1回の結果で判断してはいけない理由は「LLMO対策、最初にやるのはサイト修正ではなかった」にまとめています。
参考にした資料
AGEO-SCOPE実測(2026年9月18日、ChatGPT・Claude・Gemini、Web検索を有効化、5問×3AI=15回)
Olivier Martinez (Sciences Po), Optimizing Visibility in Generative Engines: A Critical Survey of Generative Engine Optimization (2023-2026), arXiv:2607.14035(2026年7月15日版)
よくある質問
GEOとLLMOの違いは何ですか?
意味の違いはほとんどありません。GEOは2023年の論文由来の呼び方、LLMOは日本で広まった呼び方で、どちらもAIの回答に自社が挙がるようにする取り組みを指します。ただし実測では、AIに「おすすめのGEO対策ツール」と聞いたときと「おすすめのLLMO対策ツール」と聞いたときで、返ってきたツールの重なりは0.07しかありませんでした。人にとっては同じ言葉でも、AIにとっては別の言葉として働いています。
AIOとAEOの違いは何ですか?
AIOはAI Optimization、AEOはAnswer Engine Optimizationの略で、どちらもGEO・LLMOとほぼ同じ領域を指します。実測では、AIOで聞くとSemrushやAhrefsなど通常のSEOツールが多く返り、AEOで聞くと海外の可視性計測ツールが中心でした。AEOは貿易分野の認定事業者制度(Authorized Economic Operator)と混同された回答も確認しています。
LLMO対策とGEO対策は、やることが違いますか?
やることは変わりません。違うのは、その言葉でAIに聞いたときに何が返ってくるかです。自社の計測では、「GEO対策ツール」と聞いたときだけ自社が挙がり、LLMO・AIO・AEO・AI検索対策では一度も挙がりませんでした。施策ではなく、計測に使う言葉の問題です。
自社を計測するとき、どの言葉を使えばいいですか?
1つに絞らず、複数の言葉で計測することをおすすめします。今回の実測では5つの言葉すべてに共通して挙がったツールは3つだけでした。1つの言葉だけで測ると、他の言葉では挙がっている可能性を見落とします。あわせて、お客様が実際に使う言い方を優先してください。