目次
不動産ポータルとLLMO対策、何を確かめたか
LLMO対策(AI検索対策・AIO対策とも呼ばれます)とは、AIに相談されたときに自社の名前が挙がり、正しく紹介されるようにする取り組みです。
不動産会社の方からよく出てくるのが、ポータルサイトの扱いです。SUUMO、LIFULL HOME'S、アットホーム。すでに掲載料を払って載せている会社が多く、「あれはAI対策になっているのか」という疑問が残ります。
2026年7月、世田谷区の不動産会社について10種類の質問をChatGPT・Claude・GeminiにWeb検索を有効にして投げ、挙がった118社と、AIが添えたリンク68件を記録しました。この68件のうち、ポータルサイトへのリンクは10件です。この10件がどこから出てきたのかを追いました。
同じことを自社で測る手順はまず自社の状況を知るに、計測全体の結果は不動産会社のLLMO対策にまとめています。この記事はそこから、ポータルの部分だけを取り出したものです。
ポータルが出たのは、10問のうち1問だけ
まず、どの質問でポータルが出てきたかを並べます。
| 質問 | ポータル | Googleマップ | 公式サイト |
|---|---|---|---|
| 二子玉川で中古マンションを探しています | 8件 | 0件 | 9件 |
| 世田谷区で相続した実家を売却したい | 2件 | 6件 | 0件 |
| 世田谷区で家の売却を頼むなら | 0件 | 8件 | 2件 |
| 下北沢周辺で評判の良い不動産会社は? | 0件 | 6件 | 0件 |
| 三軒茶屋でおすすめの不動産会社を教えて | 0件 | 5件 | 4件 |
| 二子玉川で相続した不動産の売却に強い会社は? | 0件 | 3件 | 0件 |
| 世田谷区でおすすめの不動産会社を教えて | 0件 | 0件 | 4件 |
| 三軒茶屋で家の売却を頼むなら | 0件 | 0件 | 3件 |
出典:AGEO-SCOPE実測(2026年7月、世田谷区、10問×3AI、Web検索を有効化)。リンク68件を分類。他社・メディア記事の列は省略しています。
10件のうち8件が、「二子玉川で中古マンションを探しています」の1問に集中していました。残り2件は相続の質問です。
「おすすめの不動産会社は?」「家の売却を頼むなら?」のように会社をたずねる質問では、ポータルは1件も出ていません。出てきたのはGoogleマップと各社の公式サイトでした。
分かれ目は、会社を探しているのか、物件を探しているのかでした。
同じ質問で、ChatGPTは会社、Geminiはポータルを返した
その1問を、AI別に開きます。「二子玉川で中古マンションを探しています。どうすればいいですか?」に対して返ってきた17件の内訳です。
| AI | 返した件数 | ポータル | 会社・その他 |
|---|---|---|---|
| ChatGPT | 4件 | 1件 | 3件 |
| Claude | 9件 | 4件 | 5件 |
| Gemini | 4件 | 3件 | 1件 |
Claudeが返したポータルは、SUUMO・LIFULL HOME'S・アットホーム・ノムコムの4つ。Geminiが返したのはSUUMO・HOME'S・アットホームの3つです。いずれもトップページのURLでした。
ここで起きていたこと
重要なのは、ポータルが「ある不動産会社を説明するための出典」として出てきたのではないという点です。
ClaudeとGeminiは、SUUMOやアットホームを答えそのものとして挙げていました。「物件を探すなら、このサイトを見てください」という形です。会社名ではなく、サイト名が回答になっています。
Geminiが返した残り1件は「二子玉川ライズS.C.」でした。商業施設です。中古マンションを探している人への回答として、不動産会社ですらありません。
ChatGPTが案内していたのは、物件一覧ページだった
ChatGPTだけ、返ってきたものの性質が違いました。4件のうち3件が不動産会社で、しかも貼られていたURLがトップページではありませんでした。
- 三井のリハウス → 東京都世田谷区玉川のマンション一覧ページ
- センチュリー21(加盟店) → その店舗のマンション一覧ページ
- プロパティバンク → 沿線・駅で絞り込んだマンション一覧ページ
いずれも会社紹介ページではなく、物件が並んでいるページです。エリアや駅で絞り込まれた状態のURLが、そのまま貼られていました。
残り1件はiタウンページに掲載された三井のリハウス二子玉川センターの情報で、これも会社の所在地情報でした。
つまりChatGPTは、この質問に対してポータルに流さず、各社の物件一覧ページを直接案内していたことになります。自社サイトに物件一覧があり、エリアで絞り込めるURLになっていれば、拾われる余地があるということです。
Geminiは「HOME'S」にSUUMOのURLを貼っていた
もう1つ、同じ1問の中で見つかったものです。
| AI | 挙げた名前 | 貼られていたドメイン |
|---|---|---|
| Claude | LIFULL HOME'S | homes.co.jp |
| Gemini | HOME'S | home.suumo.jp |
同じ計測の中で、ClaudeはHOME'Sに homes.co.jp を貼り、Geminiは home.suumo.jp を貼っていました。後者はSUUMO側のドメインです。サービス名と、貼られたURLの運営元が一致していません。
AIが挙げた名前と、添えたURLがずれる現象は、ほかの計測でも出ています。注文住宅では、7社の名前にまったく無関係な別業種の会社のURLがまとめて貼られていました。
名前が挙がったかどうかだけを見ていると、この種のずれは見つかりません。何と説明され、どこにリンクされていたかまで残して初めて分かります。
LLMO対策の一歩目に、分析から改善提案まで
AGEO-SCOPEは、AIが返した回答を原文のまま記録し、どの質問で自社が挙がったか、何と説明され、どこにリンクされていたかまで残します。そのうえで、次に手を入れる場所を根拠つきで提案します。
SUUMO掲載は、LLMO対策になるのか
ここまでを踏まえて、最初の問いに戻ります。
会社名を出す力としては、確認できなかった
この計測では、ポータルが出てきたのは物件を探す質問だけでした。そこでClaudeとGeminiが挙げたのはSUUMOやアットホームというサイトの名前であって、そこに掲載されている不動産会社の名前ではありません。
掲載していれば自社の名前が挙がる、という動きは今回見えませんでした。載っていても、出てくるのはSUUMOです。
会社をたずねる質問では、別の場所が見られていた
一方、「おすすめの不動産会社は?」のように会社をたずねる質問では、ポータルは0件でした。代わりに出てきたのはGoogleマップ(28件)と各社の公式サイト(23件)です。
会社名を挙げてもらう経路としては、ポータルより先に見るべき場所があるということになります。
ただし、掲載をやめる理由にはならない
念のため書いておくと、これは「SUUMOをやめたほうがいい」という話ではありません。ポータルは人間の相談者が直接使う導線で、今回測ったのはAIの回答に自社名が出るかどうかだけです。評価している範囲が違います。
判断に使えるのは、「ポータル掲載をAI対策の施策として数えないほうがよい」というところまでです。
物件を探す質問に、何をするか
今回の1問から言えることに絞ります。
自社サイトに、絞り込まれた物件一覧ページがあるか
ChatGPTが貼っていたのは、エリアや駅で絞り込んだ状態の物件一覧ページでした。「世田谷区玉川のマンション」のように、地名で到達できるページが存在しているかどうかです。
物件詳細ページは入れ替わりが激しく、消えると404になります。残り続けるのは一覧ページのほうなので、そちらにエリア名が入っているかを先に見ます。
会社をたずねる質問と、物件を探す質問は分けて測る
同じ不動産でも、この2つは返ってくるものが別物でした。会社の質問ではGoogleマップと公式サイト、物件の質問ではポータルと物件一覧ページ。どちらを取りにいくかで、手を入れる場所が変わります。
片方だけを登録して測っていると、もう片方で何が起きているかが見えません。
1つのAIの結果で判断しない
同じ質問に対して、ChatGPTは会社の物件一覧ページ、Claudeはポータル4件、Geminiはポータル3件と商業施設1件を返しました。3つで結論が変わります。
そのうえで、1回ではなく続けて測ることになります。7週間・120回の定点観測では、週ごとの数字を見ているだけでは何も起きていないように見え、質問ごとに分けたときに動きが出ていました。
この計測で言えないこと
- 物件を探す質問は、10問のうち1問です。この1問の結果から、物件検索全体の傾向は言えません。
- 対象は世田谷区・二子玉川の中古マンションです。エリアや物件種別が変われば結果は変わります。
- 2026年7月の1回の計測です。1回では、実力なのか偶然なのか区別がつきません。
- ポータルに掲載している会社と掲載していない会社を分けて比べてはいません。掲載の有無が結果にどう効くかは、この設計では測れません。
- ポータル側の掲載内容(会社紹介欄の書き方など)とAIの回答の関係も、確かめていません。
よくある質問
SUUMOやアットホームに掲載していれば、AIに自社名が出ますか?
今回の計測では確認できませんでした。ポータルが出てきたのは物件を探す質問だけで、そこでClaudeとGeminiが挙げたのはSUUMO・アットホームといったサイトの名前です。掲載されている不動産会社の名前ではありませんでした。一方、「おすすめの不動産会社は?」のように会社をたずねる質問では、ポータルへのリンクは0件で、Googleマップと各社の公式サイトが出ていました。
ポータルへの掲載はやめたほうがいいですか?
そういう話ではありません。今回測ったのは、AIの回答に自社名が出るかどうかだけです。ポータルは人間の相談者が直接使う導線で、評価している範囲が違います。言えるのは「ポータル掲載をAI検索対策の施策として数えないほうがよい」というところまでです。
物件ページに構造化データを入れれば、AIに拾われますか?
確かめていません。なお、よく勧められるRealEstateListingという型は、Googleがリッチリザルトとしてサポートする25種類には含まれていません。今回の計測で分かったのは、ChatGPTがエリアや駅で絞り込んだ物件一覧ページのURLを直接案内していた、という点までです。構造化データより先に、地名で到達できる一覧ページが存在しているかを見るほうが確かだと考えています。
AIが貼ったURLが間違っていることはありますか?
あります。今回の計測では、Geminiが「HOME'S」という名前にSUUMO側のドメイン(home.suumo.jp)を貼っていました。同じ計測の中で、Claudeは同じサービスにhomes.co.jpを貼っています。別の業種では、7社の名前にまったく無関係な別業種の会社のURLがまとめて貼られていた例もありました。名前が挙がったかどうかだけを見ていると、この種のずれには気づけません。