業種別・人材/採用支援

採用代行・人材紹介のLLMO対策大手が87%の質問と、14%の質問がある

2026年10月12日公開 執筆:GENTA

AIに人材サービスをたずねると、大手の名前がずらりと並ぶ。そう思われているかもしれません。半分は当たっていて、半分は外れていました。

ChatGPT・Claude・Geminiに、転職エージェント・人材紹介・採用代行(RPO)に関する質問を投げて計測しました。同じ人材業界でも、質問の種類によって大手の割合は87%と14%に分かれます。そして質問を絞っていくと、挙がる会社は45社から11社まで減りました。

目次

  1. 採用代行・人材紹介のLLMO対策で、最初に決めること
  2. 個人向けは大手87%、企業向けは14%
  3. 「RPO」と書くかどうかで、挙がる会社が変わる
  4. 質問を絞ると、45社が11社になった
  5. AIが紹介文に引いていたのは、数字だった
  6. 地方では、地場の会社に定位置がある
  7. 学習用のボットと、検索用のボットは別物
  8. ほかに、先にやっておくこと
  9. 採用代行・人材紹介のAI対策、どこから手をつけるか
  10. よくある質問

採用代行・人材紹介のLLMO対策で、最初に決めること

LLMO対策(AI検索対策・AIO対策とも呼ばれます)とは、AIに相談されたときに自社の名前が挙がり、正しく紹介されるようにする取り組みです。

人材サービスの場合、相談してくるのは2種類の人です。転職を考えている個人と、採用に困っている企業の担当者。この2つは、AIから見るとまったく別の市場でした。

そして企業向けの中でも、「採用代行を探している」のか「エンジニア採用の内製化を手伝ってほしい」のかで、挙がる会社は入れ替わります。どの質問で戦うかを決めないまま対策を始めても、手の打ちようがありません。この記事は、その選び方のためのデータです。

個人向けは大手87%、企業向けは14%

まず、いちばん大きな差です。

個人向け|おすすめの転職エージェントは? 87%

挙がった15件のうち13件が大手。リクルート、doda、マイナビ、パソナ、ビズリーチといった名前が並びました

企業向け|採用代行(RPO)を依頼できる会社は? 14%

挙がった21社のうち18社が中小・専業。大手グループは3社だけでした

理由は想像がつきます。求職者向けの総合サービスはテレビCMや広告で名前が知られており、AIは「よく見かける名前」を挙げやすいためです。認知度がそのまま結果に出ます。

一方、企業向けの採用代行には全国区の知名度を持つ会社がほとんどありません。だから専業の会社が並びます。中小・専業にとっては、企業向けの質問のほうが入り込む余地が大きいということです。

同じ「人材サービス」でも、どちらの相談者を向いているかで、やるべきことが変わります。

「RPO」と書くかどうかで、挙がる会社が変わる

もう一つ、採用支援の領域に特有の問題があります。業界で通じる略語が、相談する側では使われていないことです。

ある採用支援会社について、ほぼ同じ内容を2通りの聞き方で計測しました。

質問結果
エンジニア採用を頼める採用代行会社はどこ?3つのAIのうち2つで名前が挙がった
エンジニア採用に強い採用代行(RPO)会社を教えてください3つとも挙がらなかった

言い回しを少し変え、「RPO」という略語を加えただけで、挙がっていた会社が消えました。

どちらが正しいという話ではありません。問題は、自社サイトが「RPO」としか書いていない場合と、「採用代行」としか書いていない場合で、拾われる質問が変わることです。発注する側が最初に打つ言葉は、必ずしも業界の正式名称ではありません。

なお、略語を外せば安全というわけでもありません。別の計測では「AI検索対策」のように略語を使わない聞き方をしたときに、まったく別のジャンルの回答が返ってきました。詳しくは言葉だけ変えて5回聞いた記事に書いています。

質問を絞ると、45社が11社になった

ここからが、この業種でいちばん実務に効く話です。

エンジニア採用の支援について、範囲の広さを変えた3つの質問で計測しました。

質問挙がった社数3AI共通

エンジニア採用を頼める採用代行会社はどこ?
広い

45社

0社

エンジニア採用に強い採用代行(RPO)会社は?
やや絞る

27社

0社

エンジニア向けの採用ピッチ資料を作ってくれる会社は?
絞る

11社

2社

出典:AGEO-SCOPE実測(2026年9月、ChatGPT・Claude・Gemini、Web検索を有効化)。「3AI共通」は、3つのAIすべてに名前が挙がった会社数。

広い質問では45社が挙がりました。これだけ並ぶと、1社あたりの存在感はほとんどありません。しかも3つのAIすべてに挙がった会社は0社。どのAIを開くかで、まったく違う45社が出てきます。

質問を絞っていくと、挙がる社数は27社、11社と減っていきます。そしていちばん絞った質問で初めて、3つのAIに共通して挙がる会社が2社出てきました。

実際、そのうちの1社は3つのAIすべてで1位か2位に入っていました。広い質問では名前が出たり出なかったりしていた会社が、質問が具体的になった瞬間に安定して挙がるようになったということです。

ここから言えること。「採用代行」のような大きな言葉で勝負すると、45社の中に埋もれ、AIごとに結果もばらつきます。一方、自社がはっきり答えられる具体的な相談に絞ると、顔ぶれが収束し、3つのAIが同じ答えを出しはじめます。中小・専業にとっては、狭い質問のほうが勝ち筋が見えやすい領域です。

LLMO対策の一歩目に、分析から改善提案まで

AGEO-SCOPEは、御社が答えられる相談に合わせた質問を設計し、ChatGPT・Claude・Geminiで毎週計測します。どの質問なら入り込めるかを分析したうえで、次に書き足す内容まで根拠つきで提案します。

資料をダウンロード

AIが紹介文に引いていたのは、数字だった

では、挙がった会社は何と紹介されていたのか。採用代行の質問で返ってきた紹介文を並べると、共通点がはっきりしました。

数字と、対応範囲の具体性です。AIは、サイトに書かれている数値をそのまま引用していました。

逆に言えば、「丁寧に伴走します」「お客様に寄り添います」といった表現しか書かれていない会社は、AIが紹介に使う 材料 を持てません。何社支援したのか、どの職種に強いのか、KPIを何に置いているのか。Web上に数字で書かれているかどうかが分かれ目になっていました。

地方では、地場の会社に定位置がある

名古屋と福岡でも計測しました。どちらも大手の割合は約30%で、全国区の企業向け質問と同じ水準です。

ただし、AIによって答えの性格が違いました。ChatGPTとClaudeは地場の会社を中心に挙げる一方、Geminiはリクルートエージェントやdodaといった全国区の名前を先に並べ、そのあとに地場の会社を続けます。同じ「福岡で人材紹介会社を探している」という相談でも、開いたAIによって示される選択肢が変わります。

注目したいのは福岡です。全国区の質問では3つのAIに共通して挙がる会社が0社だったのに対し、福岡では1社ありました。名古屋では0社です。

エリアを限定すると候補が減り、顔ぶれが収束する。前の章で見た「質問を絞ると共通が出る」のと同じ構図が、地域でも起きていました。

学習用のボットと、検索用のボットは別物

ここまで「どの質問で戦うか」「何を書くか」を見てきましたが、その前に確認しておくことがあります。そもそもAIがサイトを読める状態かです。

よく「AIクローラーをブロックしていないか確認しましょう」と言われます。ただ、ここには見落としやすい点があります。同じ会社が、用途の違うクローラーを複数動かしていることです。

モデルの学習用検索・回答用
OpenAI(ChatGPT)GPTBotOAI-SearchBot
Anthropic(Claude)ClaudeBotClaude-SearchBot

OpenAIは公式ドキュメントで、この2つの設定は互いに独立していると説明しています。学習には使われたくないがChatGPT検索には出たい、という設定ができるということです。

そして、検索側をブロックした場合についてはこう書かれています。

OpenAIのドキュメントより

「OAI-SearchBotをオプトアウトしたサイトは、ChatGPT検索の回答に表示されません。ただしナビゲーションリンクとしては表示されることがあります」

出典:OpenAI Developers — Bots

つまり、学習用のGPTBotだけを見て「ブロックしていないから大丈夫」と判断すると、検索側を止めたままになっている可能性があります。robots.txtに書くなら、最低限こうなります。

User-agent: OAI-SearchBot
Allow: /

User-agent: Claude-SearchBot
Allow: /

OpenAIは、robots.txtを更新してから検索側の挙動に反映されるまでおよそ24時間かかるとしています。直したつもりで翌日に確認する、くらいの余裕を見てください。

なお、ユーザーがその場でリンクを開いたときに動くボット(ChatGPT-UserやClaude-User)は別の枠です。OpenAIは「ユーザーの操作で動くため、robots.txtのルールが適用されない場合がある」としており、検索に出るかどうかの判定にも使われないと書いています。

Geminiについては、通常の検索インデックス(Googlebot)が前提になります。生成AI向けの設定は別途Googleが用意しているので、詳細はGoogleのドキュメントで確認してください。

ただし、許可すれば出るわけではありません。これは土俵に上がるための条件であって、挙がることを保証するものではありません。弊社の計測でも、クローラーをブロックしていない会社が大半を占めるなかで、挙がる会社と挙がらない会社に分かれています。

ほかに、先にやっておくこと

クローラーを確認したら、サイト側で整えておくと効きやすいものが4つあります。いずれも大がかりな改修は要りません。

見出しの直下に、答えを書く

AIは「質問に対して、そのまま回答として使える文章」を扱いやすくなります。長い前置きのあとに結論が来る構成だと、引用できる部分が見つかりにくくなります。

既存の記事を書き直す必要はありません。見出しのすぐ下に一段落、結論を足すだけです。

Q. 採用代行の会社を選ぶポイントは?

採用代行の会社を選ぶときは、「対応できる職種」
「支援の範囲」「成果指標の置き方」の3点を
確認することが重要です。

理由は——

この形にしておくと、AIが引用しやすくなるだけでなく、読む人にとっても分かりやすくなります。

会社の公式情報ページを1枚つくる

サービスページでも会社概要でもなく、自社について一通りまとまった1ページです。AIが「この会社は何者か」を調べるときの一次情報になります。

採用支援の会社なら、こういう構成になります。

この記事の前半で見たとおり、AIが紹介文に引いていたのは数字と対応範囲でした。それらが1ページにまとまっていれば、AIは拾いやすくなります。

構造化データを入れる

最低限、次の3つです。

ただし「入れればAIに引用される」というものではありません。機械が情報を正しく読み取るための下準備です。参考:Google検索セントラル(Organization構造化データ)

サイトマップを送信する

意外と抜けている項目です。/sitemap.xml が存在するかを確認し、Google Search ConsoleとBing Webmaster Toolsの両方に送信します。

Bing側を忘れがちですが、Microsoft Copilotの回答はBingの検索結果と関係します。ChatGPT・Claude・Geminiだけを気にしていると、ここが抜けたままになります。

優先順位をつけるなら。検索用クローラーの確認 → 公式情報ページの作成 → 既存記事の見出し直下に結論を足す → 構造化データ、の順です。
なお、llms.txt を最優先で用意する必要はないと考えています。少なくともOpenAIは、ChatGPT検索に出るための条件としてllms.txtを求めておらず、OAI-SearchBotのクロール許可を案内しています。

採用代行・人材紹介のAI対策、どこから手をつけるか

ここまでのデータから、順番を整理します。

その前に1つ。サイトが検索用のクローラーをブロックしていると、ここまでの内容は読まれません。1つ前の章で確認してください。Cloudflareなどの設定も含めた手順はLLMO対策の進め方にあります。

なお、これらを直してもAIの回答に必ず出るようになるわけではありません。今回の計測は2026年8月と9月の記録で、AIの回答は日々変わります。言えるのは、どの質問でどんな会社が挙がっていたか、そして紹介文に何が使われていたか、までです。

業界全体の調査結果は採用代行・人材紹介のレポートに、効果の測り方は7週間の定点観測にまとめています。

この記事のデータについて AGEO-SCOPE実測(2026年8月21日・9月9日、ChatGPT・Claude・Gemini、Web検索を有効化)。社名は、公開済みレポートと同様に伏せています。紹介文はAIの回答から社名を伏せたうえで引用しました。
OpenAI Developers — Bots(OAI-SearchBot / GPTBot / ChatGPT-User の用途とrobots.txtの扱い)
Anthropic サポート記事(ClaudeBot / Claude-User / Claude-SearchBot の用途)
Google検索セントラル — Organization構造化データ

よくある質問

採用代行(RPO)会社にLLMO対策は必要ですか?

発注者がAIに相談する場面がある以上、見ておく価値はあります。そして採用代行は、中小・専業にとって比較的入り込みやすい領域でした。「採用代行(RPO)を依頼できるおすすめの会社は?」で挙がった21社のうち18社が中小・専業です。個人向けの転職エージェントで大手が87%を占めていたのとは対照的でした。

人材紹介会社のAI検索対策は、何から始めればいいですか?

どの質問で戦うかを決めるところからです。同じ人材業界でも、質問の種類によって大手の割合が87%と14%に分かれました。広い質問で知名度の勝負をするより、自社が対応できる具体的な相談に合わせた質問で測り始めるほうが、現実的な打ち手が見つかります。

「RPO」と書くかどうかで、AIの回答は変わりますか?

変わります。ある採用支援会社について計測したところ、「エンジニア採用を頼める採用代行会社はどこ?」では3つのAIのうち2つで名前が挙がりましたが、言い回しを少し変えて「RPO」という略語を加えた質問では、3つとも挙がりませんでした。業界で通じる略語が、相談する側では使われていないことがあります。

AIは採用支援会社の何を見て紹介していますか?

紹介文に共通していたのは、数字と対応範囲の具体性でした。「支援実績889社」「リピート率90%以上」「年間5,000人以上」のような数値が、AIの回答にそのまま引用されています。抽象的な強みだけが書かれている会社は、AIが紹介する材料を持てません。

AIクローラーを許可すれば、ChatGPTの回答に出ますか?

許可は前提条件であって、出ることを保証するものではありません。ただしOpenAIは、ChatGPT検索向けのクローラーOAI-SearchBotについて「オプトアウトしたサイトはChatGPT検索の回答に表示されない」と説明しています。学習用のGPTBotとは別物で、設定も独立しています。Anthropicも同様に、学習用のClaudeBotと検索用のClaude-SearchBotを分けています。