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注文住宅・工務店のLLMO対策で、先に知っておくこと
LLMO対策(AI検索対策・AIO対策とも呼ばれます)とは、AIに相談されたときに自社の名前が挙がり、正しく紹介されるようにする取り組みです。
注文住宅を考えている人は、こういう聞き方をします。「さいたま市で注文住宅を建てたい。おすすめの工務店は?」「ハウスメーカーより工務店に頼みたい」「断熱性の高い家を建てられるところは?」。検索と違い、AIは数社だけを名前で挙げ、短い説明を添えます。
2026年10月、この種の質問を5つ用意し、ChatGPT・Claude・GeminiにWeb検索を有効にした状態で投げました。挙がったのは延べ107件、67社です。
5問のうち4問は、地場の工務店だけだった
まず全体像です。質問ごとに、挙がった数と、そのうち全国規模のハウスメーカーが占めた数を並べます。
ハウスメーカーより工務店に頼みたい。評判の良い地元の工務店は?
27件
0件
さいたま市で注文住宅。おすすめの工務店は?
22件
0件
断熱性や耐震性など、住宅性能が高い家を建てられる工務店は?
21件
0件
自然素材や木の家が得意な工務店は?
18件
0件
予算3,000万円前後で注文住宅を建てられる工務店は?
19件
6件
出典:AGEO-SCOPE実測(2026年10月11日、ChatGPT・Claude・Gemini、Web検索を有効化)。社名は伏せています。
上の4問では、全国規模のハウスメーカーが1社も挙がりませんでした。並んだのは、さいたま市とその周辺の工務店・設計事務所ばかりです。
他の業種ではこうはなりません。個人向けの転職エージェントでは挙がった15件のうち13件が大手、都内の美容クリニックでも施術名で聞くと大手が68%を占めました。注文住宅は、地場の会社がかなりの部分を押さえている領域だと言えます。
価格を入れた1問だけ、大手が6社入ってきた
例外が1問ありました。「予算3,000万円前後で注文住宅を建てられる工務店を教えてください」です。
この質問では、挙がった19件のうち6件が全国規模のハウスメーカーでした。全体の32%です。他の4問がゼロだったことを考えると、明らかに異質です。
質問文には「工務店」と書いてあります。それでもハウスメーカーが入ってきました。金額を基準に聞かれると、AIは「その価格帯で建てられる会社」として大手を持ち出します。
工務店にとっては、ここが大手との境界線になります。価格で比較される質問は相手の土俵です。
そのとき、AIが貼ったURLが7件まとめて崩れた
さらに踏み込んで、AIが会社名に添えたリンクを調べました。全体では41件にURLが付いており、そのうち34件は各社の公式サイトで、正しく対応していました。
残りの7件が、すべて同じ質問で起きていました。
価格の質問で、1つのAIが挙げた7社に添えられたURL
- 全国規模のハウスメーカー
- 別の全国規模のハウスメーカー
- さらに別のハウスメーカー
- 大手グループの住宅ブランド
- 地場の建設会社の営業所
- 住宅販売チェーンの店舗
- 家電系のハウスメーカー
この7社すべてに、まったく同じURLが1つ貼られていました。開いてみると、さいたま市とも、挙げられた7社とも関係のない、別の県にある別業種の会社の自社サイトでした。
※ 無関係の会社のため、URLは伏せていますAIが貼ったURL41件のうち7件、17%が誤っていたことになります。しかも散発的ではなく、1つの回答の中でまとめて崩れていました。
私たちは以前から、45本のGEO研究をまとめたレビューを引用して「引用は信頼性も内容の裏づけも意味しない」「引用元によって完全に裏づけられていた文は約51%」と書いてきました。今回はその実例です。
工務店側から見ると、こうなります。AIの回答に自社名が出ていても、横のリンクが自社サイトとは限りません。見込み客がそれを押したら、関係のない会社のページに着きます。名前が挙がったかどうかだけを数えていると、この種の問題は見つかりません。
LLMO対策の一歩目に、分析から改善提案まで
AGEO-SCOPEは、AIが返した回答を原文のまま記録し、どの質問で自社が挙がったか、何と説明され、どこにリンクされていたかまで残します。そのうえで、次に手を入れる場所を根拠つきで提案します。
地場が押さえている質問には、共通点がある
大手が入ってこなかった4問を読み返すと、AIが紹介文に使っていた材料がはっきりしていました。いずれも検証できる形で書かれている情報です。
評判をたずねた質問では、口コミの点数
「評判の良い地元の工務店は?」への回答には、こういう紹介文が並びました。
- 「Google口コミで平均評価5.0を獲得しており、信頼性の高い工務店です」
- 「Houzzで5つ星評価を受けており、家族の希望に寄り添った家づくりを提供しています」
評価されている、ではなく点数そのものが引用されています。住宅専門のプラットフォームの評価も材料になっていました。
性能をたずねた質問では、規格名と等級
「断熱性や耐震性が高い家は?」では、固有の規格名が並びました。
- 「BELS★★★★★、断熱等級6.5、HEAT20 G2に対応しています」
- 「省エネ基準やZEH、認定低炭素住宅に対応した高性能な住宅」
- 「長期優良住宅に対応した高水準の家」
紹介文21件のなかで「断熱」が28回、「耐震」が25回、「高気密」「高断熱」が合わせて27回。抽象的な「高性能」ではなく、等級や認定の名前が通貨になっています。
自然素材をたずねた質問では、素材の固有名詞
「無添加住宅の正規代理店」「地元の西川材を使用」「無垢材を贅沢に使用した規格住宅」。どの木を使い、どの認定を受けているかが、そのまま引用されていました。
3つに共通するのは、第三者が確認できる形になっているかです。点数、等級、産地、認定。「こだわっています」では紹介のしようがありません。
67社のうち3社は、3つのAIすべてに挙がった
もう一つ、他の業種と比べて目立った点があります。3つのAIすべてに名前が挙がった会社の割合です。
| 業種 | 挙がった数 | 3つのAI共通 | 割合 |
|---|---|---|---|
| 美容クリニック(都内) | 92院 | 0院 | 0% |
| 不動産(世田谷区) | 118社 | 2社 | 1.7% |
| 税理士(渋谷区・港区) | 134事務所 | 3事務所 | 2.2% |
| 注文住宅(さいたま市) | 67社 | 3社 | 4.5% |
そもそも挙がる会社の総数が少なく、常連ができはじめています。顔ぶれが固まる前に入り込めるかどうかという段階に見えます。
取りにいく質問と、様子を見る質問
ここまでのデータから、優先順位を整理します。
- 取りにいく。性能、自然素材、「ハウスメーカーではなく工務店に頼みたい」。この3つは地場の会社だけが並んでいました。大手と競合しません。
- 様子を見る。価格・予算を軸にした質問。大手が3割を占め、AIの回答精度も落ちていました。優先度は下げてよいと思います。
そのうえで、サイトに書いておく内容は次のとおりです。いずれも、実際にAIが紹介文へ引用していた要素です。
- 性能を数値と等級で書く。断熱等級、UA値、耐震等級、ZEH・長期優良住宅・認定低炭素住宅への対応、採用している工法の名前。
- 素材を固有名詞で書く。どの木材か、どの産地か、どの認定を受けているか。
- 口コミの管理を続ける。Googleビジネスプロフィールに加え、住宅専門のプラットフォームの評価も引用されていました。
- 施工エリアを書く。市区名だけでなく、近隣の市まで。
- 「工務店」という言葉をサイトに置く。「ハウスメーカーではなく工務店に」という相談が、地場にとって最も有利な質問でした。自社をどう名乗っているかが効きます。
この1回で言えないこと
正直に書いておきます。今回の計測は2026年10月11日の1回分です。
AIの回答は同じ質問でも毎回変わります。45本のGEO研究をまとめたレビューでは、1つの質問につき7〜8回の反復計測が出発点として推奨されています。今回はその1回目にすぎません。
- 言えること。ある日のある時点で、価格を軸にした質問だけ大手が入り、同じ質問でAIが貼ったURLがまとめて崩れた。他の4問では地場の工務店だけが並んでいた。
- 言えないこと。この傾向がいつも起きるのか。URLの誤りが続くのか。そして、挙がったら問い合わせが増えるのか。
同じ5問で計測を続けているので、結果がたまり次第この記事を更新します。1回の結果で判断してはいけない理由は7週間の定点観測に、進め方の全体像はLLMO対策の進め方にまとめています。
この記事のデータについて
AGEO-SCOPE実測(2026年10月11日、さいたま市の注文住宅に関する5問 × ChatGPT・Claude・Gemini=15回、Web検索を有効化、延べ107件・67社)。社名はすべて伏せています。誤ったURLを貼られていた会社も、そのURLの持ち主である会社も、いずれに責任があるものでもないため名前を出していません。
Olivier Martinez (Sciences Po), Optimizing Visibility in Generative Engines: A Critical Survey of Generative Engine Optimization (2023-2026), arXiv:2607.14035(2026年7月15日版)
よくある質問
工務店にLLMO対策は必要ですか?
家を建てる人がAIに相談する場面がある以上、見ておく価値はあります。さいたま市で計測したところ、3つのAIが挙げた工務店は67社。そのうち5問中4問は地場の工務店だけが並び、大手ハウスメーカーは1社も入りませんでした。地場の会社にとって、まだ入り込む余地のある領域です。
注文住宅の集客で、AI検索はどの質問が狙い目ですか?
性能、自然素材、そして「ハウスメーカーではなく工務店に頼みたい」という相談です。この3つの質問では、挙がったのが地場の工務店だけでした。一方、予算や価格を軸にした質問では大手ハウスメーカーが3割を占めたため、価格で勝負する質問は不利になります。
AIは工務店の何を見て紹介していますか?
質問によって変わります。評判をたずねた質問では「Google口コミで平均評価5.0」「Houzzで5つ星評価」のように口コミの点数が引用されました。性能をたずねた質問では「BELS5つ星」「断熱等級6.5」「HEAT20 G2」のような規格名と等級が並びます。いずれも各社サイトに書かれている内容でした。
AIの回答に出てきた情報は正確ですか?
正確とは限りません。今回の計測では、AIが会社名に添えたURL41件のうち7件が、さいたま市とも挙げられた会社とも関係のない別業種・別県の会社のサイトでした。1つの回答の中でまとめて誤っていたものです。名前が挙がったかどうかだけでなく、何と書かれ、どこにリンクされているかまで確認する必要があります。