業種別・注文住宅/工務店

注文住宅・工務店のLLMO対策価格で聞いた瞬間、答えが崩れた

2026年10月13日公開 執筆:GENTA

家を建てる人がAIに工務店をたずねたとき、大手ハウスメーカーばかりが並ぶのか。さいたま市を対象に5つの質問を投げて調べました。

結果は、5問のうち4問は地場の工務店だけ。大手は1社も入りませんでした。ところが残りの1問、価格を軸にした質問だけが別の様相になり、しかもそこでAIの回答そのものが崩れていました。

目次

  1. 注文住宅・工務店のLLMO対策で、先に知っておくこと
  2. 5問のうち4問は、地場の工務店だけだった
  3. 価格を入れた1問だけ、大手が6社入ってきた
  4. そのとき、AIが貼ったURLが7件まとめて崩れた
  5. 地場が押さえている質問には、共通点がある
  6. 67社のうち3社は、3つのAIすべてに挙がった
  7. 取りにいく質問と、様子を見る質問
  8. この1回で言えないこと
  9. よくある質問

注文住宅・工務店のLLMO対策で、先に知っておくこと

LLMO対策(AI検索対策・AIO対策とも呼ばれます)とは、AIに相談されたときに自社の名前が挙がり、正しく紹介されるようにする取り組みです。

注文住宅を考えている人は、こういう聞き方をします。「さいたま市で注文住宅を建てたい。おすすめの工務店は?」「ハウスメーカーより工務店に頼みたい」「断熱性の高い家を建てられるところは?」。検索と違い、AIは数社だけを名前で挙げ、短い説明を添えます。

2026年10月、この種の質問を5つ用意し、ChatGPT・Claude・GeminiにWeb検索を有効にした状態で投げました。挙がったのは延べ107件、67社です。

5問のうち4問は、地場の工務店だけだった

まず全体像です。質問ごとに、挙がった数と、そのうち全国規模のハウスメーカーが占めた数を並べます。

質問挙がった数うち大手

ハウスメーカーより工務店に頼みたい。評判の良い地元の工務店は?

27件

0件

さいたま市で注文住宅。おすすめの工務店は?

22件

0件

断熱性や耐震性など、住宅性能が高い家を建てられる工務店は?

21件

0件

自然素材や木の家が得意な工務店は?

18件

0件

予算3,000万円前後で注文住宅を建てられる工務店は?

19件

6件

出典:AGEO-SCOPE実測(2026年10月11日、ChatGPT・Claude・Gemini、Web検索を有効化)。社名は伏せています。

上の4問では、全国規模のハウスメーカーが1社も挙がりませんでした。並んだのは、さいたま市とその周辺の工務店・設計事務所ばかりです。

他の業種ではこうはなりません。個人向けの転職エージェントでは挙がった15件のうち13件が大手、都内の美容クリニックでも施術名で聞くと大手が68%を占めました。注文住宅は、地場の会社がかなりの部分を押さえている領域だと言えます。

価格を入れた1問だけ、大手が6社入ってきた

例外が1問ありました。「予算3,000万円前後で注文住宅を建てられる工務店を教えてください」です。

この質問では、挙がった19件のうち6件が全国規模のハウスメーカーでした。全体の32%です。他の4問がゼロだったことを考えると、明らかに異質です。

質問文には「工務店」と書いてあります。それでもハウスメーカーが入ってきました。金額を基準に聞かれると、AIは「その価格帯で建てられる会社」として大手を持ち出します。

工務店にとっては、ここが大手との境界線になります。価格で比較される質問は相手の土俵です。

そのとき、AIが貼ったURLが7件まとめて崩れた

さらに踏み込んで、AIが会社名に添えたリンクを調べました。全体では41件にURLが付いており、そのうち34件は各社の公式サイトで、正しく対応していました。

残りの7件が、すべて同じ質問で起きていました。

価格の質問で、1つのAIが挙げた7社に添えられたURL

  • 全国規模のハウスメーカー
  • 別の全国規模のハウスメーカー
  • さらに別のハウスメーカー
  • 大手グループの住宅ブランド
  • 地場の建設会社の営業所
  • 住宅販売チェーンの店舗
  • 家電系のハウスメーカー

この7社すべてに、まったく同じURLが1つ貼られていました。開いてみると、さいたま市とも、挙げられた7社とも関係のない、別の県にある別業種の会社の自社サイトでした。

※ 無関係の会社のため、URLは伏せています

AIが貼ったURL41件のうち7件、17%が誤っていたことになります。しかも散発的ではなく、1つの回答の中でまとめて崩れていました。

私たちは以前から、45本のGEO研究をまとめたレビューを引用して「引用は信頼性も内容の裏づけも意味しない」「引用元によって完全に裏づけられていた文は約51%」と書いてきました。今回はその実例です。

工務店側から見ると、こうなります。AIの回答に自社名が出ていても、横のリンクが自社サイトとは限りません。見込み客がそれを押したら、関係のない会社のページに着きます。名前が挙がったかどうかだけを数えていると、この種の問題は見つかりません。

LLMO対策の一歩目に、分析から改善提案まで

AGEO-SCOPEは、AIが返した回答を原文のまま記録し、どの質問で自社が挙がったか、何と説明され、どこにリンクされていたかまで残します。そのうえで、次に手を入れる場所を根拠つきで提案します。

資料をダウンロード

地場が押さえている質問には、共通点がある

大手が入ってこなかった4問を読み返すと、AIが紹介文に使っていた材料がはっきりしていました。いずれも検証できる形で書かれている情報です。

評判をたずねた質問では、口コミの点数

「評判の良い地元の工務店は?」への回答には、こういう紹介文が並びました。

評価されている、ではなく点数そのものが引用されています。住宅専門のプラットフォームの評価も材料になっていました。

性能をたずねた質問では、規格名と等級

「断熱性や耐震性が高い家は?」では、固有の規格名が並びました。

紹介文21件のなかで「断熱」が28回、「耐震」が25回、「高気密」「高断熱」が合わせて27回。抽象的な「高性能」ではなく、等級や認定の名前が通貨になっています。

自然素材をたずねた質問では、素材の固有名詞

「無添加住宅の正規代理店」「地元の西川材を使用」「無垢材を贅沢に使用した規格住宅」。どの木を使い、どの認定を受けているかが、そのまま引用されていました。

3つに共通するのは、第三者が確認できる形になっているかです。点数、等級、産地、認定。「こだわっています」では紹介のしようがありません。

67社のうち3社は、3つのAIすべてに挙がった

もう一つ、他の業種と比べて目立った点があります。3つのAIすべてに名前が挙がった会社の割合です。

業種挙がった数3つのAI共通割合
美容クリニック(都内)92院0院0%
不動産(世田谷区)118社2社1.7%
税理士(渋谷区・港区)134事務所3事務所2.2%
注文住宅(さいたま市)67社3社4.5%

そもそも挙がる会社の総数が少なく、常連ができはじめています。顔ぶれが固まる前に入り込めるかどうかという段階に見えます。

取りにいく質問と、様子を見る質問

ここまでのデータから、優先順位を整理します。

そのうえで、サイトに書いておく内容は次のとおりです。いずれも、実際にAIが紹介文へ引用していた要素です。

その前に1つ。サイトが検索用のAIクローラーをブロックしていると、ここまでの内容は読まれません。学習用と検索用でボットが分かれている点も含めて、別の記事にまとめています。

この1回で言えないこと

正直に書いておきます。今回の計測は2026年10月11日の1回分です。

AIの回答は同じ質問でも毎回変わります。45本のGEO研究をまとめたレビューでは、1つの質問につき7〜8回の反復計測が出発点として推奨されています。今回はその1回目にすぎません。

同じ5問で計測を続けているので、結果がたまり次第この記事を更新します。1回の結果で判断してはいけない理由は7週間の定点観測に、進め方の全体像はLLMO対策の進め方にまとめています。

この記事のデータについて AGEO-SCOPE実測(2026年10月11日、さいたま市の注文住宅に関する5問 × ChatGPT・Claude・Gemini=15回、Web検索を有効化、延べ107件・67社)。社名はすべて伏せています。誤ったURLを貼られていた会社も、そのURLの持ち主である会社も、いずれに責任があるものでもないため名前を出していません。
Olivier Martinez (Sciences Po), Optimizing Visibility in Generative Engines: A Critical Survey of Generative Engine Optimization (2023-2026), arXiv:2607.14035(2026年7月15日版)

よくある質問

工務店にLLMO対策は必要ですか?

家を建てる人がAIに相談する場面がある以上、見ておく価値はあります。さいたま市で計測したところ、3つのAIが挙げた工務店は67社。そのうち5問中4問は地場の工務店だけが並び、大手ハウスメーカーは1社も入りませんでした。地場の会社にとって、まだ入り込む余地のある領域です。

注文住宅の集客で、AI検索はどの質問が狙い目ですか?

性能、自然素材、そして「ハウスメーカーではなく工務店に頼みたい」という相談です。この3つの質問では、挙がったのが地場の工務店だけでした。一方、予算や価格を軸にした質問では大手ハウスメーカーが3割を占めたため、価格で勝負する質問は不利になります。

AIは工務店の何を見て紹介していますか?

質問によって変わります。評判をたずねた質問では「Google口コミで平均評価5.0」「Houzzで5つ星評価」のように口コミの点数が引用されました。性能をたずねた質問では「BELS5つ星」「断熱等級6.5」「HEAT20 G2」のような規格名と等級が並びます。いずれも各社サイトに書かれている内容でした。

AIの回答に出てきた情報は正確ですか?

正確とは限りません。今回の計測では、AIが会社名に添えたURL41件のうち7件が、さいたま市とも挙げられた会社とも関係のない別業種・別県の会社のサイトでした。1つの回答の中でまとめて誤っていたものです。名前が挙がったかどうかだけでなく、何と書かれ、どこにリンクされているかまで確認する必要があります。