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税理士にとってのLLMO対策とは
LLMO対策(AI検索対策・GEO対策とも呼ばれます)とは、ChatGPT・Claude・GeminiなどのAIに相談されたとき、回答の中で自社の名前が挙がり、正しく紹介されるようにするための取り組みです。
税理士事務所の場合、相談者は「顧問税理士を探している」「相続税の申告を頼みたい」「税務調査の連絡が来た」といった状況でAIに聞きます。検索と違って、AIは数件だけを名前で挙げ、短い紹介文を添えます。載るか載らないかの差が、検索結果より大きく出るということです。
対策の進め方そのものは「LLMO対策、最初にやるのはサイト修正ではなかった」にまとめています。この記事では、税理士事務所に絞ったデータだけを扱います。
134事務所のうち、3つのAI共通は3件だった
まず、全体像です。渋谷区・港区の税理士に関する5つの質問を、2026年8月と9月に、ChatGPT・Claude・Geminiへ投げました。
紹介の総数AIが回答の中で名前を挙げた税理士事務所(のべ)
事務所の数重複を除いた事務所数。1回しか挙がらなかった事務所が大半でした
3つのAI共通ChatGPT・Claude・Geminiのすべてに挙がった事務所
134事務所のうち、3つのAIすべてに挙がったのは3件だけでした。挙げた事務所の数もAIによって違い、ChatGPTが41、Claudeが32、Geminiが79です。Geminiは多くの事務所を並べ、Claudeは絞って答える傾向がありました。
ここから言えるのは、ChatGPTで自社が出てこなくても、それが全体の結論にはならないということです。新宿区の税理士を15回計測した別の調査でも、最も多く挙がった事務所で15回中4回でした。1回聞いて判断するには、回答が動きすぎます。
質問の種類で、選ばれる事務所が入れ替わる
ここからが本題です。同じ「税理士を探す」質問でも、聞かれ方によってAIが選ぶ事務所と、添える紹介文の中身がはっきり変わりました。
①「税務調査に強い事務所は?」——経歴が語られる
計測メモ|税務調査の質問
この質問で返ってきた紹介文36件のうち、22件(61%)が「元国税調査官」「元税務調査官」「国税OB」といった経歴に触れていました。「年間50件以上の税務調査に対応」「300件以上の現場経験」のように、件数を挙げた紹介文も5件ありました。
税務調査は、相談者が不安を抱えて探す領域です。AIは「誰が対応するのか」「どれだけ場数を踏んでいるのか」を紹介文の中心に据えていました。逆に言えば、経歴や件数がサイトに書かれていない事務所は、この質問で紹介しようがありません。
②「相続税に強い事務所は?」——専門特化が語られる
相続の質問では、紹介文32件のすべてが相続の話でした。「相続税に特化した税理士法人」「生前対策から申告まで」「弁護士・司法書士とワンストップ」といった形です。総合的なサービス紹介ではなく、相続の中でどこまで対応できるかが並びます。
③「外国人経営者の会社設立は?」——対応条件が語られる
この質問の紹介文39件のうち、18件が英語・中国語などの言語対応に触れていました。「完全英語対応」「外資系顧客100%」「ビザ申請まで一貫」のように、相談者が気にする条件がそのまま書かれています。
①〜③に共通するのは、AIが紹介文に使っていたのは、事務所サイトに書かれている得意分野・経歴・対応条件だったことです。一般的な「親身に対応します」のような表現は、ほとんど出てきませんでした。
④「顧問税理士を変えたい」——事務所名が1件も出ない
計測メモ|乗り換えの質問
「顧問税理士を変えたいのですが、どうやって探せばいいですか?」では、挙がった13件がすべて税理士紹介サイトや解説記事でした。具体的な事務所名は1件も挙がりませんでした。
相談者が「どこがいいか」ではなく「どうやって探すか」を聞いた瞬間、AIは探し方を答えます。事務所が入り込む余地がある質問と、そうでない質問がある、ということです。自社がどの質問で勝負できるのかを先に知ることが、対策の出発点になります。
LLMO対策の「分析→改善提案→効果の確認」を、1つのツールで
AGEO-SCOPEは、御社の相談者が使いそうな質問でAIの回答を分析し、上位事務所と御社サイトを突き合わせて「次に何を書き足すか」を根拠つきで提案します。直した後の変化も毎週の計測で確かめられます。
AIが見ていたのは、事務所の公式サイトだった
AIが事務所名に添えたリンクを分類すると、税理士では82%が事務所自身の公式サイトでした。ポータルや他社の記事は、それぞれ5%ほどです。
7業種を比べた別の記事では、不動産はGoogleマップやポータルが66%、BtoB SaaSは比較サイトや他社記事が52%を占めていました。税理士は、公式サイトの書き方がそのまま結果に出やすい業種だと言えます。
ポータル頼みにしなくてよい一方で、サイトに書いていないことは紹介されません。次の章は、その具体的な中身です。
今日からできる7つの改善
いずれも、計測で実際にAIが紹介文に使っていた要素です。大がかりなサイト改修は必要ありません。
- 得意分野を、トップページに1行で書く「相続税に強い」「税務調査対応に特化」のように、相談内容の言葉で。総合的な業務案内だけだと、どの質問にも引っかかりにくくなります
- 誰が対応するのかを書く代表税理士の経歴、国税での勤務歴、対応分野。税務調査の質問では、紹介文の61%が経歴に触れていました
- 実績を数字で書く「相続税申告 年間○件」「税務調査の立会 累計○件」。件数の入った紹介文が実際に返ってきています。守秘義務の範囲で出せる数字を選んでください
- 対応条件を明記する英語対応、オンライン面談、土日や時間外の対応、初回相談の可否。相談者の条件がそのまま紹介文に使われていました
- エリアと最寄り駅を書く「渋谷駅から徒歩5分」のような表記が紹介文に引用されていました。区名だけでなく、駅名や近隣区も書いておくと拾われやすくなります
- 相談内容ごとのページを作る相続税、税務調査、会社設立、事業承継。1ページに全部を詰め込むより、質問ごとに対応する受け皿を用意するほうが、AIは引用しやすくなります
- 税理士紹介サイトの掲載情報を見直す「顧問税理士を変えたい」では紹介サイトばかりが挙がりました。すでに登録しているサイトの情報が古くないか、得意分野が書かれているかを確認してください
なお、これらを直してもAIの回答に必ず出るようになるわけではありません。書いていないことは紹介されない、というのが今回のデータから言えることです。
直したあと、効果をどう確かめるか
サイトを直したら、同じ質問で測り直します。ポイントは3つです。
- 相談者の言葉で質問を作る。「渋谷区 税理士」ではなく、「渋谷区でおすすめの税理士事務所を教えてください」「相続税の申告を頼める事務所は?」のように、実際の相談の形で聞きます。
- 3つのAIで、複数回測る。上で見たとおり、AIによって挙がる事務所が違い、同じAIでも回答は毎回変わります。
- 何回中何回挙がったかで記録する。1回の結果ではなく割合で見ると、直した前後を比べられます。
同じ手法で計測した調査結果は、渋谷区・新宿区・さいたま市の3本を公開しています。自社のエリアの状況を知る参考にしてください。
よくある質問
税理士事務所にもLLMO対策は必要ですか?
AIに税理士をたずねる相談者がいる限り、どう紹介されるかは見ておく価値があります。今回の計測では、3つのAIが挙げた税理士事務所は134件で、そのうち3つのAIすべてに挙がったのは3件だけでした。ChatGPTに出ていなくてもGeminiには出ている、という状態が普通に起きています。
税理士のLLMO対策は、何から始めればいいですか?
自社サイトに「何に強いか」が書かれているかの確認からです。今回の計測では、AIが税理士事務所に添えたリンクの82%が事務所自身の公式サイトでした。紹介文の内容も、公式サイトに書かれている得意分野や経歴をなぞったものが中心でした。
ホームページがあれば、AIの回答に出てきますか?
出てくるとは限りません。今回挙がった134事務所のほとんどはホームページを持っています。そのうえで、AIは質問ごとに数件だけを選んでいます。「税務調査に強い」「相続に特化」のように、何の相談に応えられるかが書かれているかどうかが、選ばれ方に関わっていると考えられます。
税理士紹介サイトには登録したほうがいいですか?
「顧問税理士を変えたい」とAIにたずねた場合、回答に挙がったのは税理士紹介サイトや解説記事ばかりで、特定の事務所名は1件も挙がりませんでした。乗り換えを考えている相談者に届く入口が紹介サイト側にある、ということです。登録の判断は費用対効果次第ですが、この質問で事務所名が出にくいことは知っておいて損はありません。